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- 新暦と旧暦
テレビや雑誌・新聞で良く旧正月という言葉を見かけます。
また、旧盆という表現も見かけますが、この「旧」はなんだという方もいらっしゃいますよね。
この旧正月も旧盆も旧暦の正月、旧暦のお盆を意味します。
それじゃあ、旧暦ってなあに?ということになりますよね。
実は我々が何気なく使っている「暦」にはいろいろなものがあるのです。
そして現在世界中で広く使われている暦は「グレゴリオ暦」というものです。
この「グレゴリオ暦」は1582年に制定されました。
国によって使われている暦も違っているのですが、多くの世界では、この「グレゴリオ暦」を新暦、「グレゴリオ暦」以前に使っていた暦を旧暦と呼んでいます。
もちろん、全世界で一斉に導入されたわけではなく、グレゴリオ暦の導入は国によって違っています。
日本では1873年1月1日から新暦に移行しています。
そのため旧暦の明治5年12月は2日で終了し、3日が明治6年1月1日となりました。(明治改暦)
この改定の前は、天保暦というものが使われていましたので、旧暦はこの天保暦をさします。
アジアの多くの国々は中国の影響を受けた暦を使っていました。
太陽暦・太陰暦
新暦・旧暦という言葉以外に、太陽暦・太陰暦という言葉も見かけることがあるかと思います。
もともと太陽が昇ってから沈みまた昇るという昼夜に繰り返し(周期性)があることから日が認識され、月の満ち欠けの繰り返し(周期)から月が認識され、季節の繰り返し(周期性)から年が認識されたといいます。
簡単に言うとこの月の運行を基にした暦が太陰暦で、太陽の運行(地球の公転)を基にした暦が太陽暦です。
太陽暦
まずは太陽暦についてみていきます。
太陽の周りを地球が公転することで繰り返す1年の平均的な周期は365.2422日です。
したがって、太陽暦では、まずは1年を365日と設定しています。
ただそうすると、だいたい4年に1日短くなるので、4年に1度閏年を設けて一日だけ多くすることで、季節の周期が外れないようにしたのが、うる年の目的です。
つまり普段の年は2月を28日までで設定しているのが、閏年だけ2月29日まであるようにしたのです。
これが、ユリウス暦というもので、ローマでは紀元前後に制定されました。
しかし、こうすると、1年にだいたい11分ズレていくので、128年で1日ズレることになります。
128年に一日と考えると少ないと思われるかもしれませんが、グレゴリオ暦が作成されたころは、ユリウス暦が使われて1500年もたっていたので、季節とのずれが11日くらいになっていたのです。
そこで、この128年に一日のずれをなくすように考えたのが「グレゴリオ暦」なんです。
400年に97回の閏年を設けることで、平均的な太陽の運行とのずれはだいたい3221年に1日程度に改善されました。
太陰暦
さて、太陰暦について簡単に見ていきます。
太陰暦は、月の運行を基にした暦です。
月は、平均して、29.5日程度で満ち欠けを繰り返します。
そこで、新月(朔)を基準に次の朔の前の日までを一月とします。そして12月を一年とします。そうすると、一年は354日になるので、純粋な太陰暦は、一年で11日ほどずれます。
そうすると、季節と月の対応があまりないことになります。
しかし、日に関しては、月の満ち欠けとほぼ同じなため、夜月が見えれば、何日かが分かるという利点があります。
しかし、季節と月が異なると農作業等で不便なため、一年を太陽の運行に調整することを考え付きます。
それが太陰太陽暦です。
太陰太陽暦
太陰暦で日を数えていくと1年に11日程度季節のずれが起こるので、3年に1度、1か月を加えてあげると、月と季節がそれほどずれがなくなります。
こうした、「日」は月の運行を利用して、「月」は太陽の運行も反映させた暦を太陰太陽暦と言います。
中国では古くからこの太陰太陽暦を採用していたため、周辺のアジアの国々の多くでも太陰太陽暦が使われてきました。
日本の天保暦もこの太陰太陽暦です。
旧正月と旧盆
初めに旧正月や旧盆について書きましたので、これらについても少々まとめておきます。
旧正月
旧正月は、中国やアジアで使われていた旧暦の正月のことです。
旧暦の正月は「雨水」(太陽が黄経330°の位置に来る時点)の直前の朔の日にあたります。
新暦では1月22日から2月19日ころのどこかの日になります。
春節とも呼ばれて、中国では今でも盛大に祝われます。
旧盆
お盆はそもそも旧暦の7月15日に行われた先祖を祀る行事です。
ただ明治の改暦以降、お盆を下記のような日付で行うようになりました。
- 旧暦の7月15日
- 新暦の7月15日
- 新暦の8月15日
- その他
いわゆる月遅れのお盆です。
ただ月遅れのお盆と旧暦のお盆が最近はごちゃごちゃになっているようです。
最後に、日本では旧暦の計算は毎年行われていました。
それによって、うるう年や大小の月が決定されていました。
明治の改暦以降は旧暦の計算はされていません。
なので、現在旧暦としてカレンダーなどに掲載されているものは、江戸時代に計算していた日付とは微妙に違う様です。